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仙台高等裁判所秋田支部 昭和25年(う)64号 判決

被告人

長尾三郎

外一名

主文

原判決中被告人長尾三郎、同工藤長次郎に対する部分を破棄する。

被告人長尾三郎を懲役六月に被告人工藤長次郎を罰金五千円に各処する。

但し本裁判確定の日から一年間被告人長尾三郎に対する微役刑の執行を猶予する。

被告人工藤長次郎が右罰金を完納することが出来ないときは金二百五十円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

被告人長尾三郎から金一万二千円を被告人工藤長次郎から金八千円を各追徴する。

当審訴訟費用中国選弁護人岡部秀温に支給した分は被告人長尾三郎の負担とする。

理由

被告人長尾三郎の趣意第二点の同被告人の司法警察員に対する供述は凡て夜中二、三人掛りで強制脅迫的に取り調べられ且つ誘導訊問を受けた結果全く不本意にしたものだから任意性がないとの論旨について按ずるに原判決が証拠として採用した同被告人の司法警察員に対する第一、二回供述調書を仔細に検討し更に記録を精査するも右供述に任意になされたものでないと疑うべき証跡がなく、たとい取り調べが所論のように夜中に亘り且つ二、三人掛りでしたとしても直ちにそれを強制脅迫その他任意の供述を不能ならしめるような無理な取り調べをしたものと断じ得ないから論旨は採用し得ない。

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